いもがら閑話③
小学校1年生のころは何か大きな節目になっていたのだろうか。前回記述した火事の経験は壮絶であったが、直接わが身が傷つき、一歩間違えばそこで人生が終わるような体験というまでには至っていない。その点からすると今回紹介する体験は、まさに危機一髪というところであろう。
秋になると、町の至るところから元気のよい子供たちの歓声、リズム感のある音楽そしてアナウンスが聞こえてくる。毎年、秋の恒例行事といえば運動会である。家族や隣人たちが総出で応援合戦や、飲食を楽しむ絶好の機会、それが運動会である。
今は宮崎市では2学期制をとり小中学校は5月が運動会となってしまった。なにか拍子抜けしてしまうことしきりであるが、以前は運動会イコール秋と相場は決まっていた。ちなみに今年(2010年)は口蹄疫の災禍が宮崎県に降りかかり、人が集まるような行事は全部キャンセルとなってしまった。それにともない5月の運動会は中止となっている。それで今年は終息宣言後の9月10月が運動会の月となっている。皮肉な話である。
さて、時間を巻き戻し、小学校1年生のころの自分に降りかかった災禍は、小学校での体育の授業終了時に起こっている。
その時の現場状況は、正確には覚えていない。運動会の練習でもしていたのだろうか。結構足が速かったこともあり、徒走競争の勝利の余韻を残しながら、自分は教室に戻っていった。自分が何故そこにいたのかは今でも不思議に思う。状況は、当時6年生の男子生徒2人が喧嘩をしていて、20mほど離れたところから一人の生徒が、パイプの管を相手に投げつけた。その真ん中をこともあろうに、自分が通ったわけであるから、見事にそのパイプは自分の頭に命中、一瞬の出来事であるが、そこいらは血の海と化したわけである。
自分は頭を押さえながら、先のほうで会話に夢中になっている担任の女の先生のところにふらふらしながら歩いて行き、後ろから「先生!」と声をかけた。その先生はうるさい子が話しを邪魔しにきたと、見もせずに手を振り払ったのである。「違うんです!」ともう一度声をかけて、先生がこちらを振り向いて「ぎゃー」と叫んだところまでは、覚えているが、あとは記憶にない。
気がつくと、自分は保健室なのか、病院なのか、割れた頭を縫合手術していた。パイプは左目の3センチほど上に突き刺さったものでちょっとずれれば、命はなかったかもしれないということであった。
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